年6,000人の女性が落命 インドの“悪習”「ダウリー」

国際報道2025

放送日 10月17日 NHK BS

(↑で視聴可能) 配信期限10月25日(土)午前4:59

 

<ダウリー>

婚約や結婚の際に女性側の家族が男性側の家族に金品を贈る慣習。

高級車や家を要求するケースも。返礼はなし。

繰り返し要求、応じないと虐待するケースも。

去年1年間で6,000人以上の女性が命を落とす。(インド内務省)

1961年 インド政府 「ダウリー禁止法」制定

    ➡しかし一部に根強く残ったまま

 

<あるケース 23歳女性>

西部マハラシュトラ

結婚の4か月後に自殺

遺体には大きな火傷、殴られたアザ

男性側家族は婚約時、金の指輪代約11万円を要求

その後、家族全員の結婚式衣装代、新居用家具・家電などの代金として約170万円を要求

女性の父は身内や銀行から金を借り約140万円を渡す

少しでも支払いが遅れると女性は虐待された

女性の父「自殺した当日も娘は電話で『拷問を受けている。残り30万円を用意して』と言ったが渡す前に亡くなった」

結婚は伯父が決めた半強制のものだった。

男とその家族は虐待と金品受け取りの容疑で逮捕された。

ダウリー禁止法違反は5年以上の服役・罰金

被害者死亡の場合は終身刑の可能性も

犠牲者は結婚7年以内の若い女性が多い。

 

<ダウリー反対団体>

セルフィー・アゲインスト・ダウリー代表 スニル・ジャグラン氏

8年前から女性の権利の本を作りインド全土で5,000の村を訪問し30万冊配布

「重要なのはダウリーは非常に恥ずべき行為であるという認識を広めそれをしないことが勇気ある行動だと人々に信じてもらうこと」

 

自らも虐待の経験のある団体の女性 ソニア氏

「何が正しくて何が間違っているのか。何かを変えるためには知識が必要。女性たちは自分のために声を上げなければならない」

女子大でも学生たちにダウリー根絶を訴える。

「お金は誰かの命よりも大切ですか?ダウリーの代わりに子どもの教育に使うよう両親と話してください。そうすればきっと誰かに金品を与えなくても済む未来が来るでしょう。皆さんに費やされるお金は幸せの形として必ず帰ってくるからです」

学生「とても印象的なスピーチで私たちもやる気になった。2人の兄弟がいるけど金品はもらわないようにするし誰かがもらっていたら反対の声を上げたい」

ソニア氏「ダウリーの伝統がなくなる日まで戦い続ける。何年もかかるかもしれないが次の世代が虐待や自殺の苦しみにあわないように」

 

5年前に結婚したある夫婦は団体の呼びかけに賛同、結婚時に男性側は金品を受け取らなかった。

夫「父にダウリーなしで結婚すると伝え、お互いの家族への敬意として1ルピーだけ受け取り結婚した。ダウリーは社会悪。取り除かなければ」

 

ニューデリー支局 野村祐介カメラマン

ダウリーの背景には女性の地位の低さがある。この問題に詳しい弁護士パンデイ氏(デリー高等裁判所)は「かつては結婚する女性に両親が衣服や宝石を贈り、女性はそれらを財産として嫁いだ」と話す。

しかし次第に男性優位の意識が広がり現在の慣習へと変わったという。

「教育水準の高い上流社会の人たちもダウリーを行う。高収入の男性ほど高価なものを受け取ることが誇りとなるからだ。」

政府や各州は女性専用ヘルプラインや被害者カウンセリングを設けているが地方では制度の周知が不十分で、効果は限定的。

だからこそソニア氏らの団体のような草の根運動による意識改革が重要。

 

番組では意見・質問・思いを募集している。

 

見えない地平線 イスラエル・ガザ地区

NHKスペシャル「サラームの戦場 NHK ガザ事務所の740日」

放送日 2025年10月19日

 

配信期限 10月26日(日)午後9:49
再放送  10月23日(木)午前0:35〜午前1:25 NHK総合

 

 もはや見慣れてしまった「実情を伝えるため遺体の映像が流れます」のテロップに対し本気で「もうやめてくれ!」と叫びたくなった。

 しかし爆撃ターゲット地の現状とは具体的にこういうことなのだ。

 

 身体の底から沸き起こるような戦慄を感じた理由は、これが昔の戦争の記録映像ではない、いま目の前を写した映像だからだ。我々となにも変わらない何十万というふつうの人々の毎日だからだ。

 

 番組は今月10日の停戦発効の数日後までを取材しているが、昨日も今日も停戦後の攻撃のニュースが報じられている。あの男性、あの女性、あの子供たちは無事か。どうしているか。もう他人事と思えない。

 この番組はかの地の人々と私の関係性を変えたのかもしれない。おそらく戦争と自分、世界と自分の関係性をも。

 

 47万人が「壊滅的飢餓」の状況。

 6万8千人が死亡、17万人が負傷。建物の78%が破壊された。

 サラーム氏「この現実が変わる地平線はまだ見えない」。

 

Mr.マリック、伊勢丹で14年間マジックグッズ実演販売していた

X年後の関係者たち Mr.マリック・超魔術ブーム

放送日 2025年10月16日(初回放送2024年)

番組HP

 

 中学時代、転校生が見せたマジックにハマる。

「マジックの手を作るのに10年ぐらいかかる。『挟む』動きをやるのはマジックだけ。持ってるものが持っていないように見えるまでが難しい。一日じゅう手の中にサイコロやカードを持ってすごす。食べるときもばれないよう逆の手に移し替える。何か持ってるだろうと言われたらダメ」

 

 おお~……こういう話がグッとくる。漫画でもいきなり当たり前のように無敵なのはつまらんと感じるクチです。努力描写が欲しい。どういう理屈でそんなことができるの!?というところの説明が欲しいんです。

 

 その後伊勢丹のマジックグッズ実演販売を14年経験。「至近距離で一日中マジックをやるあのテレビと同じ厳しい環境で鍛えられた。当時客とそんな距離でやるプロはいなかった」。

 21歳時には国際大会「クロースアップ部門」優勝。なるほどクロースアップ。この部門での優勝はマジシャンにとってきっと特別な意味があるのだろう。

 

 最初に目を付けたテレビ関係者「マジシャンを騙った【超能力者】を見た、と知人に知らされた。すぐにショーに行ってみると見た人が喜ぶんじゃなく『パニック』になっていた。次々に悲鳴が上がっていた」

 

 そうそう。あのざわ…ざわ…感覚えてる。

 でも結局は地道な修練の賜物ということ。今の年齢になるとすんなりわかる話。

 ちなみに「ハンドパワー」も「きてます!」もお客さんが言った言葉だそう。参考になるなあー。(……なにかの)

 

 相変わらずいい番組だわほんと。

 

にぎやかな未来 ~おしゃべりOKな図書館~

(↑で視聴可能) クローズアップ現代「利用者急増!“にぎやかな図書館”のヒミツ」

初回放送日 10月14日 NHK総合
配信期限     10月21日19:57

 

 図書館を現代のテルマエに!

 

 ドキュメンタリー映画ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」('17)には興奮&感激したけれど、日本ではああいう試みはなされていないんだろうな……と思っていた。

 あるんですね。素晴らしい。

 

「人を繋ぐうつわ」としての賑わい空間=図書館がいま日本全国で増えていっている。図書館では静かに、はもう古い!?

 

 岐阜の図書館(みんなの森 ぎふメディアコスモス)ではおしゃべりも子供の声もOKにして来館者10倍(市人口の3倍)に。壁もない開放的な空間。静かに本読みたいんですという人には防音ブースもある。市民による本の交換会(あげる人もらう人が言葉を交わすのがルールというのがいい)などなど年間100以上のイベント。

 プロデュースした吉成信夫氏「子供の声は未来の声」。

 

 「賑わい図書館」が全国で急増したのには2014年からの国の「コンパクトシティ政策」がある。図書館の周囲に市民交流センターなど多機能型の複合施設を作る場合に国(国土交通省)から交付金が出る制度がある。この交付金補助金制度を活用して10年で約100館が建設されている。

 

 札幌市では「ビジネス特化図書館」。半分以上がビジネス書、いつでも手にできるよう貸し出しはなし。新しすぎる。貸し出さない図書館。

 ビジネスの無料相談窓口(国制度活用)も設け、中小企業診断士・税理士などに相談ができる。

 岩手では農業支援特化といったように土地のニーズに合わせた図書館が作られている。

 

 糸賀雅児氏(慶応大)「図書館は本だけではなく雑誌も新聞も行政資料、地域資料も収集している。それらを組み合わせたコンテンツを作ることもできる。確度の高い情報から最適解が得られる」

 

 なるほど。図書館は実はいろんなことの最強のアドバイザーになりうるわけか。

 

 宮崎県都城市では都市の空洞化が課題。その跡地に図書館を中心とした複合型施設を整備。図書館の隣には食事ができるカフェ、子育て支援センター、保険センター、スーパー、観光客向けホテル。

 図書館を中心に複数の施設を集約することで人流は5倍に。

 

 これってもしかして?と調べてみるとやはり。ヤマザキマリでおなじみ、古代ローマの公衆浴場テルマエは運動場、図書館、庭園、飲食スペースを併設し、1日中滞在可能な場所だった。無料もしくは安価で庶民から貴族までが利用可能。

 

 昔から人はこういう空間を求めてるんですね。

 図書館が現代のテルマエになる……楽しそうじゃないか……

 

 最後に「注意点」についてもお二人から。

 吉成氏「図書館はまとまりや繋がりの回復の場。だがシビックプライド、自分たちの場所だと思えるようにどう作っていくか。そういう関係性の質感や豊かさがあった上の賑やかさでないといけない」

 糸賀氏「立派な建物と本があればよいわけではない。職員は非正規が多く待遇面の問題もある。きちんとした選書、しっかりした職員。司書という専門職を置く図書館にはその視点を持ってほしい」

 

イスラエル関連3番組

制作: Ligne de Front フランス 2024年 (放送日 2025年10月8日)

制作: Brook Lapping / Les films d'ici / Zinc Television イギリス/フランス 2025年(放送日 2025年10月7日)

制作: NHK(放送日 2025年10月3日)

 

①ネタニヤフ首相に代わると目されているヤイル・ゴランイスラエル左派勢力のリーダー。イスラエル国防軍の元副司令官。2023年10月7日に音楽祭会場で6人を救助した英雄。

「深刻な汚職や過激なナショナリズム、他者を犠牲にした孤立の上に築かれた国などありません。トラウマを抱えた我々が自滅するかあるいは強固な国として浮上するか。皆が共生できるより良い国になることもできるのです」

「ネタニヤフは自身の政治的な思惑から人質解放に後ろ向きだ。ガザを占領したい過激派の意向を優先している。我々に唯一できることはガザ地区を安定させるためにスンニ派の穏健な国々やパレスチナ自治政府、そして国際社会にも介入を求めていくことだ。同時に、ハマスの代わりになる平和的で新しい選択肢を用意する必要もある。」

 

 明るい光と思えるような人を探しその人を見続けること。

 最近は意識的にそうしている。ヤイル・ゴラン。この名前は覚えておく。

 

シャロン首相時代から現在に至る経緯を多数の関係者インタビューで綴る構成。直近の歴史を知ることは現在のニュースを深く見る助けになるが、自分はイスラエルの起こりからの歴史についての知識が曖昧だったので別途勉強し直している。

 

③特に2023年10月7日のハマスによるテロ攻撃とその後のガザ地区での状況について語るイスラエル側の人々、軍人や教師たち、観光ガイドの女性の姿を映し出す。彼らは戦争の影響、メディアの偏向、フェイクニュース、そしてイスラエルの社会や若者の意識の変化について議論、個人的な体験や感情、戦死者の追悼、日常生活の断片も含まれる。シャロン時代からの映像も。

 日常のリラックスした状況の中で話し合われる紛争。非日常の状況が日常化すれば市井の人々がこういう会話を交わすことになるというあたりまえのことに気づかされる作り。

 番組の最後に「実情を伝えるため遺体の映像が流れます」のテロップ。つらい映像が続く。戦争を扱う番組の使命は恐怖を植え付けること。こんな事態には絶対になりたくないと思わせること。だがここにおいてはそれよりも取材すべき相手や問いかけるべきことがあるのでは?と感じた。その意味でも制作者の異なる3番組を視たのはよかった。  

 

 ドキュメンタリーはNHK、かつては民放も併せて同時期に同じテーマのものが複数放送されることが多い。たくさんあるからひとつでいいだろう、ではなくできるだけ多く見ておくと自分の中に複数の視点が設けられ事が見えやすくなる。

ラトビア 4万人の歌と踊りの祭典

 NHK BSP4Kの「ラトビア 歌と踊りの祭典」(再放送。初回放送は2021年6月3日)に目を奪われ見惚れているところ。とにかく人数がすごい。歌が2万人、踊りが2万人だとか。それに色とりどりの民族衣装のなんと美しいこと!人もみな美しく見える。(世界旅行をした知人がラトビアは美人が多いと言っていたような?)女性はほとんど全員が頭にボリュームのある花の環をつけていてこれがまた美しい。あれだけ大量の花をどうやって調達しているんだろうか。

 

 しかしこの迫力はちょっとほかに類を見ない。聞けばユネスコ無形文化遺産になっているそう。至極納得。

 なにより皆さん楽しそうなのがいい。見るだけでうれしくなれる光景。これは目に留まってラッキーな番組。

 

キューピーマヨネーズのボトルは開発40年

X年後の関係者たち キューピー マヨネーズ編

放送日 2025年10月9日

 

 卵と油でできてるもんが1年以上もつのなんでだろうって考えたこともなかった。

 とにかく酸素が敵っつうことで酸素を通さないボトルに14年、さらに口の部分のわずかな空気(の酸素)も排除するため窒素を充填&アルミシールの封の開発に26年。つごうなんと40年っすよよんじゅーねん。

 

 キューピーハーフも考えてみたらおかしいんですよ。時代は健康志向つって、カロリー半分にして同じ味保てるワケないでしょうが。

 キューピーさん考えました。油の粒子をめっちゃ細かくすることでコクを保つというウルトラテク。すごいっす。…

 

 魔改造の夜を見てても思いますが、企業サンたちは頑張ってる。開発に情熱捧げてる。これからはスーパーの棚を見る目も変わります。か~ぜ~の~な~か~の~す~ばる~、といちいち流れます。それ違う局。

 

 でもひとつ、マヨラーブームのくだりでAIに吐かせたっぽいマ○チュッ△ュ氏の超美化イラストのドアップを繰り返し映すのは勘弁して欲しかった。うちのテレビ画面に焼き付いたらどうすンですか。

 

 明日はスーパーからマヨネーズが消えるかも。今日たまたま買っといて良かったー。